天然の色素のみで「さくら大根」を漬ける

居酒屋なかおち

PARIPARI 冷やして食べると美味しいらしい

 他の記事(近日公開)で駄菓子の粉末ジュースを買い求めた時、小さいころよく食べていた「さくら大根」を見かけた。お、懐かしい、最近は梅ジャムのように廃業してしまう駄菓子の銘柄もあるのに、まだ元気に販売していてなによりだ……と、思いきや。

 現在販売しているのは遠藤食品という会社で、もともとの製造会社、みやま食品工業からわりと近年引き継いでいたとのこと。そしてみやま食品工業も設備の老朽化、後継者の問題などから廃業されていることを今になって知る。そうなのか……


昔と変わらぬ……味?……か?

 実際に食べてみる。と、ぽりぽりとした触感と甘酢の具合がとてもよく、美味しい。美味しいのだが……昔と変わらぬ味か?と問われるとこれがちょっと自信がなくなってくる。もっと酸味があった気がするし、厚みも当時のほうが少し薄かった気もする。

 でも調味料も添加物も進化しているだろうし、大根だって美味しく品種改良されているだろうし、そりゃ味が昔のままってことはないだろうな。

 実際の問題、僕の舌も歳を重ねて変化(退化か?)していることもあるだろうなぁ。当然子供の頃と味の好みも変わってくるというものでして。

 ……そしたら今の自分好みの味で自作すればいいじゃん、という話だ。


着色料に頼らないさくら大根を三浦レディーサラダで

 そこで、である。せっかくなので着色料を使わず自然の色で「さくら色」を追求してみたいと思う。

自然の味、健康野菜を

 神奈川県の三浦市が1977年に開発した小型の大根。レディーサラダ。

三浦市農協

見た目も色鮮やかな赤、食感もシャキシャキ、辛みのきいた生食にはピッタリの大根「レディーサラダ」

 赤いのは外側の皮の部分だけで中はこのように真っ白な大根になっている。

見事な赤い皮

 食味のほうは辛み控えめで、瑞々しくさわやかだ。なるほどサラダのような生食に向いた品種なのだろうということがわかる。大根おろしにしても艶やかな紅色になるしね。

 もうお気づきと思うけれど、これを甘酢漬けにすると……そう、こちらもきれいな色になるのだ。これを「さくら色」と解釈して「さくら大根」としてみたい。え、桜の要素ないじゃんってそれ言います?

 だって元祖のさくら大根だって桜の葉とか花使ってないじゃん、さくらって色のことでしょ。ってことでひとつ。

 そして運よく、三浦大根のよい物がたまたまあったのでこれを使って別のさくら大根も仕込んでみよう。三浦繋がりでちょっと運命的な何かを感じるぜ。

 当然ながら純白無垢な三浦大根、こいつをさくら色に染めるには何がよいかなーと思案しまして、ならこいつだろうと。

赤紫蘇、それは赤い紫蘇!

 赤紫蘇。君に決めた。

 本来なら何度も塩揉みをしてアクを抜く手間もかかるのだが、こうしてすぐに使えるよう塩漬けされているものが売られているのでこちらを使ってみようと思う。

 三浦大根は…こんな風に6Pチーズのように切ってみよう、お、うまく切れたってことは僕は不良少年ではないらしい。

6P大根

いざ漬けてまいろう

 漬け汁はこちら。りんご酢と、オリゴ糖。旨みを足すために昆布を一切れ。

 これを塩少々を振ったレディーサラダを密封袋に空気がなるべく入らないように並べていれる。三浦大根のほうは赤紫蘇にだいぶ塩味があるので塩はせず、酢とオリゴ糖だけで漬けてみよう。

 酢2、オリゴ糖1くらいの割合が目安だけれど、甘味は控えめにしてもいいかもしれない。そのあたりはお好みで。

 こいつをバネ式の漬け物容器にいれて、3から5日ほど漬ける。半日そこいらの浅漬けでも美味しいけど、やっぱりさくら色に染めたいじゃないですか、ということで色づくまで冷蔵庫に入れておく。野菜室とかでもいいと思うよ。

Vegetable~

 それにしてもこの漬物容器、何十年使ってんだっけな、ぜんぜん壊れる気配もなく元気に稼働中だ。家はかみさんと2人なのでこの筆箱サイズで十分。ちょっと残った白菜やキャベツを漬けるにはちょうどいいんだよね。


出来上がりがこちら

 5日ほど経ちまして、からの出来上がりがこちら。

さくら~~ふぶ~きの~~♪

 ほんのりさくら色!……ちょっと写真の光具合が悪くて綺麗に見えないけど、さくら色。

 レディーサラダのほうは皮の色がほどよく溶けて、全体が淡いさくら色になっている。これかなりリアルにさくら色なんじゃないかな。

 赤紫蘇三浦大根のほうも、少し色合いが違うけれどいい感じの色が全体に染まっている。紫蘇の香りがふんわりとだよってこちらもいい出来だ。

 並べてみるとこんな感じ

 こうして見ると、遠藤食品のさくら大根の色って赤すぎてさくら色とはほど遠いよな、と気づく。だって「さくら」よりは「ぼたん」に近いようなビビッドな赤じゃん、ぼたん大根だろこれ

さてその味は……

 りんご酢の柔らかな酸味、それと昆布の味が沁みて駄菓子のそれとは違う、ちゃんとした漬け物の味となっている。あたりまえだけれどシンプルに美味しい。

 赤紫蘇三浦さくら大根のほうは、紫蘇の香りがほんのり漂ってこちらも美味しい。いや、何ならこっちの方が好みかもしれない。やっぱり香り成分って大事だな。

 この甘酢漬け、市販のショウガのガリの漬け汁なんかを再利用して手軽に作るこもともできるし、おそらくお子様の舌によくフィットするので漬物嫌い、野菜嫌いの子にも受け入れられるんじゃないかな、と思う。ここで紹介したコンパクトな漬物容器であれば一緒に作る楽しみも体験できそうだ。


本日のお酒🍺

 さて、この記事は「居酒屋なかおち」のコーナーに掲載しているのでお酒に合わせたいのだが……ここはさくら色のロゼワインあたりがビジュアル的にも映えると思うのだが……甘酢ってワインとの相性は絶望的に悪い。同じ酸味でも料理に使われているレモンなどであれば他の食味、香辛料や脂でカバーできるかもだが、こちとら甘いと酢と生野菜という、全員がワインにケンカふっかけているとしか思えない家族構成なんだよなー…じゃあ日本酒か?と言われるとそれもちょっと違和感あるし、比較的どの食材にも仲がいいウィスキーも合わないわけじゃないけど……て感じがする。


芋だ、芋焼酎があった

 そう、芋焼酎があった。焼酎さん、あんたがいたじゃないか。料理に合うというより料理を従わせる、といった風体の芋焼酎さんとタメを張れるのは辛子蓮根さんくらいじゃないか?

 といった味覚の観点から、せっかくなので「赤」にちなんだ銘柄を選んでみた。本当は赤い色をした焼酎がよかったけどそんなのないし、ということで……こちらの方においでいただきました、赤といえばこの人だよな。

赤兎馬ちゃんかと思った?残念!赤山猪ちゃんでした!

 赤は赤でも馬でなくて猪のほうをチョイス。渋いだろ?

 「赤やまじし」というもののけ姫味のあるネーミングからワイルドな味わいを期待させるも、存外ノーマルな芋焼酎。何か特徴は?と問われるとちょっと返答に困る類のスタンダードさ、ではある。

酢に負けない、それが芋焼酎

とは言え芋の香りと味わいはどっしりとあるので、さくら大根の酸味と甘みをガーーっと洗い流してくれてもう一切れいただこうかな、という気分にさせてくれる。その意味では甘酢漬けと相性はよいと言えるのかもね。