おそらく世界一簡単なミミズコンポストの作り方
まず先にお知らせ。この記事には虫画像がちょっとだけ(ミミズ2匹)ありますのでご覧いただく際にはご注意ください。
それから先出ししておくとマンション住まいの方にも有用な記事となっていると思うのでよければ最後までお付き合いください。
ひどいわね、庭の雑草、落ち葉もね
「庭の雑草と落ち葉がひどいわ」
と、かみさんに言われる。書き物している時だったので生返事していたのだが、すっとぼけられる状態ではないほど庭には雑草が生い茂っているのは確かだ。手入れしなきゃなぁ、と心の中では思っているのですよ。お隣にも景観的に迷惑がかかるしな。すると、
「ひどいわね、庭の雑草、落ち葉もね」
と、追いかけて言われた。しかも五七五のリズムで。このパターンは放置しておくと確実に機嫌が悪くなり面倒なことになる前兆だ。
しかたない、今日はいい天気だし……やるかぁ。
さて、せっかくなので落ち葉と雑草を何かに利用して記事にでもしたいなーといったところで今回の「ミミズコンポスト」につながるわけだ。
コンポストって何?
コンポストとは「堆肥(compost)」や「堆肥をつくる容器(composter)」のことで、一般の家庭では野菜くずなどを堆肥にするシステムを指す。
キャベツの外葉やトマトのヘタ、ジャガイモの皮とか本来生ごみとして棄てられる野菜くずをこのコンポストにポンと入れて、発酵(腐敗じゃないよ)させて土に戻す、というやつ。
ちょっと大きめのホームセンターには置いてある「生ごみコンポスト」。Amazonや楽天でも様々なタイプを売っていて、電気で乾燥、発酵させて堆肥化させるもの、庭やベランダにそのままおいて自然に発酵堆肥化させる箱型のものがある。

電気式のものはまずまずのお値段で、家計と心に余裕があるようなご家庭では導入されてたりするのかしらね?僕の周りではとんと見かけない。
もう一つの箱型は比較的安価だ。まぁただの箱っちゃ箱だしな。ただ、中の構造が野菜くずを置く場所と堆肥化した土が住み分けられていたり風通しがよく発酵を促す構造になっていたりしているようだ。
初めて知った方は「へぇコンポストねぇこんなのあるんだ」かもしれない。知ってたという人は「えーでも、買う勇気はないよなー」といった心持ちじゃないだろうか。だって飽きたらどうする?GOする、と心の中の竹野内豊が叫ぶでしょうに。僕自身、生ごみを処理しようと買っても飽きて使わなくなったらコンポスト自体が粗大ごみと化すのでは、という恐怖心がすごい。実際、購入してもあまり使わないうちに植木鉢として使っている人多いのではないだろうか。
そんな方におすすめなのが今回紹介する「おそらく世界一簡単なミミズコンポスト」だ。通常のコンポストであれば野菜くずを微生物に分解してもらう必要があり、発酵促進剤などを添加してやっと土に還すことができる。ところがその営みをミミズにまかせると、放っておいても自然と土にしてくれる、という優れモノなのだ。
実はそんなに難しくないミミズコンポスト
その作り方を実際に作業した過程とともに説明していこう……とはいえ、ただ雑草抜いて落ち葉集めるだけなんだけどね。

まず家の庭の状態がこれ。なんだか山の忘れられた施設の廃墟みたい。そりゃかみさんも五七五で文句を言うわけだ。がんばって雑草をぬいて落ち葉を拾っていこう。

シダの一種だろうか。毎年必ず生えてくる。食べられるとの噂もあるがこれ多分無理なヤツだろう。野草大好き俳優の岡本信人さんが家の前で散歩してくれていれば鑑定してもらうのに、と思いながらこれも引っこ抜いてビニール袋へIN。

野生化した三つ葉。八百屋で普通に売っている糸三つ葉を植えておくと物凄い勢いで繁殖するんだよなこれが。あらお得に三つ葉を楽しめていいじゃない?と思うじゃない?ところかこいつ、ここまで育つと葉が硬くてとても食べられたものじゃない。新芽ならいけそうだろと思って食べてみると、もう新芽もそこそこ硬くてしかも香りもそんなにしない。
なので残念だがこちらもコンポストの土となっていただく。

これは去年育てたゴーヤのミイラだ。晩秋に身が成ってもこんな感じで凍死してしまう。ちなみに去年収穫したゴーヤから取り出した種が発芽したので今年もたくさんのゴーヤを収穫できるだろう。

途中で出会ったヤモリ。小さくてかわいいので写真を……と思っていたら逃げられてしまった。カメラ嫌いらしい。一瞬飼おうかなと思ったけれど生き餌の調達が面倒らしいのでやめておくことにした。この庭に留まって蚊をぱくぱく食べてくれよな、頼むぜ。
洗濯ネットに落ち葉とミミズを入れよう

ぜぇぜぇ。中腰がしんどい。よっしゃ、今日はこれぐらいにしといたるわ、と心の池乃めだか師匠がつぶやく。こんな感じで落ち葉やら雑草やらを集めていったん一区切りとする。
で、今回使用するのはこの洗濯ネットだ。

網の目が細かく、ドラム型の洗濯機にも使える大型のものだ。別に大型じゃなくてもよくて各ご家庭から出る野菜くずの量によってお好きなサイズを用いてもらってよいかと思う。初めてなら100均のもので十分だが、しっかりとした製品なら長持ちしてくれるとは思うのでそこはお好みで。

これに落ち葉と雑草をIN。8分目くらいが扱いやすい量かと思う。でもわりと短期間でびっくりするほどぺしゃんこになる。そこへどんどん野菜くずを入れていく形だ。
プランターや発泡スチロールのケースの上に設置し、それから主役のミミズ君を入れる。
初めてミミズコンポストにトライする人であれば、釣具屋さんで販売しているシマミミズを購入し、そのまま丸ごといれてあげよう。

ミミズコンポストには「シマミミズ」を使います。
ドバミミズと呼ばれる太い種類はコンポストに向きません。
釣具店などで買える熊太郎。これはシマミミズなので野菜くずを食べてコンポストの中で元気に動き回って土を耕してくれる。ドバミミズは生の野菜くずなどを食べないらしく生態的にコンポストには向かないそうだ。
公式HPから画像拝借しようと思ったらなんと自社のホームページがないという驚愕の事実を知る。株式会社マルニチ(福島県須賀川市)という会社が製造販売しているらしいのだが……この熊太郎、大昔から販売しているから企業広告も必要ないってことなんだろうなぁ。販路も固定していて経営が安定していればwebページなんてなくてよいのかもね。地図で見るとすっげー田舎だこれ。でもいつか取材に行ってみたい気もするな。
家も最初はこの余った熊太郎ミミズでコンポストを初めたのだが、今ではのびのびと庭のあちこちで暮らすまでになった。

家の花壇にいる子達をざっくり入れる。洗濯ネットの網の目が細かいので脱走することなく、この中で元気に野菜くずを食べてくれる、という寸法だ。
体感だけれど、このサイズのネットなら20~30匹もいれば繁殖してくれる気がする。売っている熊太郎なら確実にそれ以上の数が入っているので、どーんと一パック入れてしまってよいかと思う。
いざ野菜くずを入れる
入れた落ち葉がしんなりしてきたので、野菜くずを入れてみる。
人が食べる野菜や果物なら原則なんでもよくて、今回はブロッコリーの茎と河内晩柑の皮にしようと思う。

柑橘類はミミズによくないなんて言われるけれど僕の経験上、どっさり入れたりしない限りは全然問題なく土に還るみたいで気にせず入れてしまっている。ニンニクなど殺菌力の強いものはさすがにダメみたいだけれど、玉ねぎも外の皮くらいなら余裕で土になる。

河内晩柑の皮を切っているとこれが良い香り。マーマレードにでもすればよかったかなと思いながらコンポストにIN。

と、これでよし。とても簡単。

ネットの下の部分に重い土が貯まっていくので、それをプランターや鉢に入れてあげて好きな草花や野菜を育てる……という寸法だ。
マンションのベランダでも余裕でいける
冒頭で先出ししたように「家はマンションだから無理だな」とお思いの方、全然そんなことはない。高層階にお住まいならむしろ庭よりも構築しやすい、まである。というのも、庭だと他の虫達が繁殖してしまうこともままあるのだが(ミズアブとかね)高い場所には羽虫が飛んでいけないのでその心配がないからだ。
えーでも落ち葉や雑草なんてないよ?とお思いの方、ご安心ください。基材となるものは土に還るものであればなんでもよく、ぶっちゃけちぎった新聞紙でもよいらしい。試したことないけれど段ボールとかでも全然いけるって話だ。

画像はAmazonのガーデナスさんから拝借しました。
コンポストの基材として確実な実績があるところでいえば稲のもみ殻。これは僕も試したことがあるのだが「殻」というだけあってもみ殻は土に還りにくく、ミミズや土に必要な微生物の寝床としてとても有効に働いてくれる。
コンポストをやっている人なら頷いてくれると思うけれど、およそ「殻」とつくものは土に還りにくい。落花生や栗の殻などは土になるまで何年もかかるんだよね。鳥や虫から身を守るためのものなのでそりゃまぁそうかと得心がいくというものだ。
あとは枕に使われるそば殻なんかも基材としてマッチするので、枕のそば殻は捨てずにコンポストの基材として使うといいと思う。
運用における注意点
他のコンポストと違ってミミズが働いてくれるので基本放っておいてよいのだが、それでも注意点がいくつかあるのでお伝えしよう。
直射日光には気を付ける
ミミズだっておけらだって、あめんぼだって夏の日差しはきついだろそりゃ、といった感じで言うまでもないけれど夏の日光には注意が必要だ。
夏場は基本、日の当たらない風通しのよいところにコンポストを移動すること。
マンション住まいの人で日陰がないという人はエアコンのアルミ日除けなどがマッチしそう。適宜工夫して日光を避けよう。
乾燥に気を付ける
この洗濯ネットコンポストの最大の欠点が「乾燥しやすい」という点にある。他は本当に楽なんだけれどね、ミミズ君が全部やってくれる。発酵促進剤などで手入れすることもしなくていいしね。
市販の密封されるタイプのコンポストならそんなことはないのだろうが、秋口とかうっかりするとカッサカサになってしまうこともあるので「乾燥しているな」と感じたら大き目の鍋にでも水を汲んで、じゃばっとかけてあげて常に湿り気のある状態をキープするようにしよう。
匂い対策
基本的にミミズが元気なら匂いもそんなにしないのだが、それでも匂いが気になるようであれば野菜くずをいれる時に穴を掘りネットの中央部分に、埋めるようにするとだいぶ匂いが軽減される。
それでも気になるなら野菜干しネットなどであらかじめ野菜くずを乾燥させてから入れるとよいと思う。
塩分のあるものダメ
残留農薬などを気にしてバナナの皮は入れちゃダメ!と声高に叫ぶナチュラル派の人はいるけれど、家ではばんばん入れてしまっている。何の問題もなく、むしろよく食べてくれるので積極的にいれよう。
ただし、さすがに塩分の強いものを入れるのはダメ。例えば枝豆の殻とか、塩ゆでしたものの残りはミミズや微生物に害があるのでこれは気を付けよう。
釣り餌として有能すぎるコンポストのミミズ達
一番最初の動機は釣り餌のミミズを自家繁殖したいと思ったからなのだが、釣りをする方には共感してもらえると思うけれど釣具店で買ったミミズとか余るんだよね。次の釣行までとっておけないだろうかと思い立ちこのミミズコンポストを始めたのだ。
コンポストの中ではミミズ達が常に世代交代しており、次期にもよるが半数くらいは新子が住んでいる。
そしてこの新子が釣り餌としておそろしいほど効果的。
モツゴやらウグイやら小さな川魚の口にもおさまりがよいらしく、よく釣れるのだこれが。

去年の秋にワカサギ釣りに行った時、ミミズの新子をもちいたのだが釣果はばっちりだった。当日ワカサギの食いがよかったということもあるのだが、おそらくウネウネ動く餌に対してリアクション食いしてきたと思われる。
販売している熊太郎は基本的に親サイズのミミズがほとんどで、新子はほとんど入っていない。新子を常に供給してくれるコンポストを運用していればいつも新子を釣行に携えることができるわけで、これはコンポスト運用者の特権と言える。
もちろん大きなサイズのシマミミズならフナやコイも釣れるし、海ではハゼやメバルなんかもよく釣れるよ。
ミミズコンポスト、おすすめです
虫、というかミミズを見るのが平気ならば、という条件はつくものの、野菜くずを土として再生してプランターで草花を育てる……ミミズコンポストはそんな潤いを日々の生活にもたらしてくれる。とてもよい営みだと思うのだがどうだろう。

ミミズ達が食べて堆肥にしてくれた土は、赤玉土などと混ぜてプランターや鉢植えなどに使える。写真はオレガノとモヒートミント、奥のプランターにはサラダバーネット。どれも元気に育っている。
野菜や果物などもだいぶ値上がりしたとはいえ、超加工食品などに比べるとだいぶその値動きも穏やかだし、積極的に食事にとりいれていけば家計にもやさしい生活が送れると思う。野菜を庖丁で調理する行為がミミズの餌をやることになるので、野菜食べるのがなんか楽しいんだよね。
まずはこの洗濯ネットで試してもらってその魅力を体感していただいて、それから本格的なコンポストに挑戦してみるとよいかもしれない。家はもう庭全体がミミズ御殿になってるから必要ないけれどね。
あ、そうそう、コンポストに入れた野菜くずから芽が出たりするのも実は密かな楽しみだったりする。今まで家では甘夏、カボチャ、小松菜の根っこが再生したりしてとても楽しい。エノキの石づきからにょきにょき新しい株が伸びてきたのは衝撃だった。ちょっと食べる勇気はなかったけれど(笑
それと釣りをする人であれば間違いなくおすすめ。花壇から掘り起こした大きなミミズ達を房掛けにして、久比里沖で尺超えの大型カサゴを釣った時はさすがにガッツポーズが出たものな(笑
そのうちこのミミズで何か釣って、100円竿の記事としてエントリーしようと目論んでいるのでこちらもお楽しみにお待ちください。